
経験を生かして、どのような役割でもこなす上茶谷
昨年までの持ち場で、
上茶谷大河が「救い投げ」を決めた。「直球の状態は良かったです」と実感し、マウンドに上がったのは6月19日の
日本ハム戦(横浜)だ。雨天ノーげームにより、追加日程で組み込まれた交流戦の最終戦。球団初の優勝をかけ、大事な先発を託された。試合前の時点で登板していた17試合はすべてリリーフ。
三浦大輔監督からも「打者1人目から全力で。長いイニングを考えずに、今までと一緒の気持ちで」と背中を押された。
初回は先頭の
清宮幸太郎に右前打を許したが、
松本剛はカットボールで遊ゴロ併殺。
野村佑希への四球から二盗で二死二塁とされても、四番・
万波中正を空振り三振に仕留めた。2回一死二塁では連続三振。その後は修正した。4回を58球で3安打無失点、5奪三振の内容に、三浦監督も「余裕を持って投げ切ってくれた。十二分に仕事をしてくれた」と評価。3対4で敗れたものの、通常なら試合のない月曜日でローテの谷間も埋めた。
新人だった2019年の7勝をピークに2勝、1勝と成績を落とし、昨年は先発で2年ぶりの完封を含む3勝を挙げた。東洋大時代のフォームにも回帰し「迷っていた部分を固めることができた」と前を向いた。今季は開幕にリリーフ待機が決定。新たな役割を意気に感じ、ここまで21試合で防御率1.10と出色だ。5月21日の
ヤクルト戦(横浜)では延長11回一死満塁の大ピンチで火消し。12回をまたいだのも、かつての経験が生きた。ロング救援も緊急時の先発もOK。覚悟を決め、唯一無二の輝きを放つ。
写真=BBM