
離脱することなく先発陣を引っ張る九里の存在は大きい
チームを勝利に導けなかったものの、気迫あふれる力投だった。
九里亜蓮は9月3日の
中日戦(マツダ
広島)で、2年ぶりとなる中4日で先発。首脳陣の期待に対して「意気に感じる」と臨んだマウンドで、同じ週の8月29日の
巨人戦(京セラドーム)で116球を投げていた疲労は感じさせず、5回1失点(自責ゼロ)は十分と言える投球だった。
新井貴浩監督が掲げる「疲労マネジメント」やアクシデントなどで、ほかの先発陣が一度は出場選手登録を抹消されてきた中で唯一、開幕からローテーションを守ってきた。指揮官は中4日で送り出した際にも、「彼の一番いいところはタフなところ。中4でも何でも“俺に投げさせてくれ”というタイプ。鼻息を荒くしてくれている」と信頼は厚い。中4日登板を終えた時点で145回2/3となり、リーグ最速で2年ぶり3度目の規定投球回にも到達した。
毎年のように、こだわりの数字として口にするのが「イニング」だ。13勝で最多勝を獲得した2021年の149イニングのキャリアハイの更新は目前。このままシーズン最後まで先発の役割を果たしていけば、ここ数年ずっと掲げてきた「170イニング」もクリアできる。
今季は6月までに6勝を挙げ、プロ10年目で初めて監督推薦でオールスター出場も果たした。だが、その後は8月までの2カ月間で1勝のみ。勝敗は打線の状態にも左右されるが、好投を続ければイニングは伸びる。イニングを重ねれば、勝利の確率も高まる。最終盤の戦い、その先にある短期決戦でも、1イニングでも長くマウンドに立ち続ける。
写真=BBM