
一軍初昇格からプロ初本塁打。成長の階段を上る井上
ドラフト1位で入団した近未来の主軸候補が、大ブレークの予感を漂わせている。9月25日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)。同点の5回に先頭で打席に立った
井上朋也が、
小島和哉の低めの直球をすくい上げた。打球は左翼席へ着弾。「打った瞬間に入ったな、と。興奮しました」。そう振り返った3年目のシーズン、通算31打席目でのプロ初アーチは、上位を争うチームとの対戦で貴重な決勝点となった。
「昨年打てれば一番良かったんですけど……」。素直な胸の内を明かしたように、本人の想定よりは遅いプロ1号でもあった。2年目だった昨春キャンプで猛アピールに成功。
藤本博史監督にも野手のMVPに挙げられ、オープン戦も途中まで帯同したが開幕一軍を逃した。8月には椎間板ヘルニアの手術を受け、一軍出場はなし。今春キャンプでは
村上隆行二軍打撃コーチと「7月の終わりに一軍で大暴れしよう」と誓いを立て、バットを振り込んだ。夏場まで一軍から声は掛からなかったが、二軍で一時首位打者に立つなどアピールして、9月6日にプロ初昇格。いきなり八番・一塁でスタメンに抜てきされた同日のロッテ戦(PayPayドーム)でプロ初安打をマークした。
花咲徳栄高では1年、2年と夏の甲子園に出場し、通算13打数5安打と勝負強さを見せた。高校通算50本塁打もマーク。球団からは将来の中心選手として期待され、2020年秋のドラフト会議で1位指名を受けた。9月に入っての昇格ながら、少ないチャンスでもしっかりと結果を残してきた。チームの「主役」となる過程において、大きな意味を持つシーズンと言えるだろう。
写真=BBM