目の前にある偉業達成へ向けて鉄腕の挑戦は続く
前人未到の記録達成が目前にある。
宮西尚生が「こだわりは持ちたい」と話すのは、通算ホールド数。今季までのプロ16年間で393ホールドを積み上げてきた。他の追随を許さない、孤高の大記録は日本記録だけでなく“世界記録”を更新中。「400というキリのいい数字。そこは、しっかりと目指したいなと今はすごく強く思っています」。
2023年シーズンは13ホールドにとどまり、大記録到達は来季へ持ち越された。それでも、大きな再出発となった1年だった。「前のシーズン(22年)が状態が良くなく、自分の中でも一から結果を出さないといけないという思いで始まったシーズン」。左肘痛で不本意な成績に終わった22年から巻き返すため、春季キャンプから全力で飛ばした。
若手と同じように、何度もチャンスを与えられる立場ではない。チーム最年長。着実に結果を積み上げるために2月から飛ばさざるを得なかった。開幕からセットアッパーに返り咲き、5月末までに11ホールドに到達。「どこまで持つかな……と思いながら始まった。僕の中では想像どおりというか、よく7月くらいまで(一軍に)おったな」。
徐々に失速してしまったが、手応えはつかんだ16年目を終え、来季の契約も結んだ。もう1度、目の前の大記録をモチベーションに変えた。「僕が唯一、目に見えて目標があるのが、そういう数字。心が折れそうなとき、そういう数字を目指して頑張らないと……という思いで頑張ってきた」。左腕1本で紡いできた伝説は、まだまだ終わらせない。
写真=BBM