メジャーの強打者をねじ伏せたスプリットを操るのは
中日の近未来エース・高橋宏斗。昨年3月のWBC決勝で、
マイク・トラウト(エンゼルス)をワンバウンドのスプリットで空振り三振にねじ伏せたのは記憶に新しい。
プロ3年目で初の規定投球回に到達した昨季もスプリットは輝いた。被打率.142は強烈。リーグ2位の145奪三振は立派な数字だ。2ストライク後の被打率が.146と同3位だったのは、決め球として申し分ない証拠となる。
一軍デビューイヤーの2022年シーズンもスプリットの被打率は.168だったから、最年少でWBC日本代表に選ばれ、
栗山英樹監督から決勝の大舞台で起用された。
中京大中京高時代から投げている。投げ分けができるから強い。「そのまま落とすのか、やや右、やや左へ曲がりながら落とすのか、そこを意識しています」。繊細な指先と脳の指令を合致させる。
変えたいのはリーグワーストの8暴投&51与四球。「真っすぐがもっと走れば、投球テンポもよくなって、キャッチャーも捕りやすくなると思います。僕のリズムが悪くて、捕球しづらい部分もあったと思います」と反省しきり。
昨季は自己最多の25試合に登板し、勝利数は自己最多7勝(11敗)だった。防御率は2.53。146回を投げて、
柳裕也と
小笠原慎之介とともに規定投球回に到達した。
「今年は160、170イニングは投げたい。防御率も2点台前半を目指したい」。エース街道をひた走る。
写真=BBM