悔しさも成長の肥やしになる。ドラフト1位の西舘勇陽は、最高のスタートを切った。
デビューは3月29日、東京ドームでの
阪神との開幕戦。7回に登板し、「最初の(マウンドでの)投球練習では全然ストライクが入らなくて」とガチガチに緊張していたが、代名詞のクイック投法でテンポよく9球で3人を抑え、完封リレーに貢献した。
「(捕手の)大城(
大城卓三)さんと野手の人たちが守ってくれたおかげで、なんとか3人で終われた」と大きな一歩を踏み出した。
春季キャンプから開幕先発ローテ入りを争ったが、チームの泣きどころであった救援の一角を託された。勝ちパターンの役割を与えられた中、デビューから10試合連続ホールドを記録。セ・リーグの新人記録に並ぶ快挙となり、9回1/3でわずか2安打無失点と抜群の安定感を示した。
4月26日の
DeNA戦(横浜)では、2対1の8回に登板し、
桑原将志の安打と犠打で一死二塁とされ、
佐野恵太に二塁打を許しプロ初失点で同点に。続く中大の3学年先輩の
牧秀悟にも二塁打を浴びて逆転を許した。プロ初黒星に「構えたところより甘く入ってしまったのが一番の反省」と悔しさを味わった。
やはり中大の先輩でもある阿部監督は、「いつかは点を取られる。悔しい思いをしてプロは甘くないというのが分かっただろうし、また頑張ってくれればいい」と一切、責めなかった。日々、前進。その輝かしいキャリアは、まだ始まったばかりだ。
写真=BBM