
浮き沈みはあるが、懸命に日々を過ごしている度会
華々しいプロデビューだった。オープン戦打率.434をマークし、新人では10年ぶり2人目の首位打者に輝いたドラフト1位・
度会隆輝は3月29日、
広島との開幕戦(横浜)に球団新人では15年ぶりとなる開幕一番でスタメン出場。3点を追う3回の第2打席、
九里亜蓮から右翼席へ同点となる3ランを放ち、プロ初安打を今季の12球団第1号でド派手に飾った。
新人の開幕戦の本塁打は2014年の
ヤクルト・
西浦直亨以来10年ぶり14人目。球団では大洋時代の1960年の
黒木基康以来64年ぶりの快挙だった。そして、勢いはそこで止まらない。翌30日の開幕第2戦でも、2試合連続となる右越え2号2ランを放つなど、1打席目に頭部付近に死球を受けながら4安打2打点の大暴れ。新人選手が開幕戦から2試合連続で本塁打を放ったのは1955年の大映・
枝村勉、81年の
西武・
石毛宏典に次いで43年ぶり3人目で、セ・リーグでは初という偉業を成し遂げた。
新人ゆえに試合が続くプロの壁に当然苦しむこともあるが、開幕22戦目で初めて一番から八番に打順を移した4月26日の
巨人戦(横浜)で3号満塁本塁打。ルーキーによるグランドスラムは球団史上初で、やはり並みの選手ではない姿を印象付けた。
横浜高時代のドラフト指名漏れを乗り越え、プロ入りが決まった際には「大口と言われてしまうかもしれないけど、目標は常に高く置きたいので、(打率)4割を打てるような打者になりたい」とNPB史上初の快挙を掲げたバットマン。球史に名を刻む旅路は始まったばかりだ。
写真=BBM