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ソフトバンク・今宮健太 内野陣を支える助け合いの精神/守備職人のプライド

 

今宮にしかできないプレーで、これまで何度もチームを救ってきた


 迎えたプロ15年目の今季も、今宮健太が職人としての意地とプライドをグラウンド上で示している。5月22日の楽天戦(みずほPayPay)。6回一死走者なしで太田光の放った遊撃への強烈なゴロを処理した際、右手親指付け根付近に打球が当たった。痛みに顔をゆがめながらも一塁へワンバウンド送球。全力でのスローイングはリスクを伴うという瞬時かつ冷静な判断でアウトを奪った。直後にトレーナーらが駆けつけて途中交代となったが、試合後には「問題ないです」と語り、翌戦にもスタメン出場した。

 2013年から5年連続のゴールデン・グラブ賞。近年は同郷(大分)で1学年下の西武源田壮亮にその座を譲る形にはなっているが、文字どおり「内野の要」としてチームの守備の精神的支柱となっている。それが色濃く表れたのが4月16日の日本ハム戦(エスコンF)だ。1点リードの3回一死一塁でスティーブンソンが一、二塁間を抜けそうな打球を放つと、二塁手・牧原大成が好捕して二塁へ送球。だが、ベース上で捕球した今宮の手が相手走者に接触し、捕球した球がグラブからこぼれた。

 直後に郡司裕也の逆転3ランが飛び出して決勝打に。無理な体勢からの送球だったこともあり記録は牧原大の失策となったが、今宮は「一度グラブに入れたら取れって話」と後輩をかばうとともに、敗戦の責任を背負った。「そこは助け合いなので」とも強調。近年チームの二塁手は固定されておらず、今季も交流戦序盤までに5人と二遊間コンビを組んでいるが、鷹が誇る守備職人が矜持を持って内野陣を支える。

写真=湯浅芳昭
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