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オリックス・安達了一 言い訳は一切しない「一時期、野球が怖い時期もあったんですけど」/守備職人のプライド

 


 まさかの光景が広がった。安達了一兼任コーチが、5月1日ロッテ戦(ほっと神戸)の9回から守備固めとして出場。2点をリードしている展開だったが、背番号3の1イニング3失策も絡み、逆転負けを喫してしまった。

 試合後は最後に球場をあとにし「ファンの皆さん、チームに申し訳ないです……」と頭を下げた。試合前から雨が降り、グラウンドコンディションが悪い中でのプレーだったが「そんなのは全然、関係ありません。言い訳にならないです。自分の技術不足です。試合を壊してしまって、本当に申し訳ないです」と反省の言葉を並べた。

 2012年にドラフト1位で入団し、プロ13年目の今季は内野守備・走塁コーチを兼任しての現役生活となった。毎年、ゴールデン・グラブ賞の候補に名前が挙がるも、一度も獲得にいたったことはない。ただ、チーム、球界内でも“名手”と評価される堅実な守備を持ち味として、キャリアを重ね、今年36歳になった。

 5月8日に出場選手登録抹消となると、ファームに合流。二軍戦にスタメンで出場するなど、実戦感覚を取り戻してきた。昨オフの契約更改交渉では、球団が一軍に帯同しながらのコーチ兼任を打診。ただ、安達は二軍での再調整を選択した。

「基本は選手で……。そう話しましたし、そっち(選手)で頑張って行きたいと思っているので。もちろん、コーチとしての役割も頭に入れています」

 6月7日にはコーチとして一軍の試合にベンチ入り。そして、13日に選手登録されると、15日のヤクルト戦(京セラドーム)で二番・二塁で先発出場し、3安打猛打賞。お立ち台では、「一時期、野球が怖い時期もあったんですけど、何とかここに立てて、本当に気持ちいいです。よかったです」と胸の内を明かした。

 下を向いる時間はない。戦いも、勉強の日々も続いていく。選手として、そしてコーチとしても。

写真=BBM
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