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日本ハム・中島卓也 状況を打開する卓越したセンス/切り札は俺だ!

 

経験豊富なベテランの仕事人が若いチームを支えている


 きっちり仕事を果たす職人が、存在感を増している。チーム生え抜き野手最年長の中島卓也だ。課されたミッションを忠実に、そして確実に遂行する能力が発揮されたのは5月5日のオリックス戦(京セラドーム)だった。1点を追う8回無死一、三塁。一塁走者の代走で出場した16年目のベテランは二盗に成功。まずはチャンスを拡大させた。

 中島に出ていたサインは「グリーンライト」だった。二盗ができるタイミングで走れ――。だから、「自分が行けると思ったら行こうと思っていた」。打者は万波中正。本塁打が出れば逆転3ラン。仕掛けることも、ちゅうちょしそうな場面だが、「それならグリーンライトも出ない。出たいうことは走ってもいい」。万波の2球目に決めてみせた。

 冷静な判断で好機を広げると、相手失策で同点。自身は三塁に進み、場面は一死一、三塁となった勝ち越し機。ここでサインは「セーフティースクイズ」。打者の松本剛は初球をファウルしたが、カウント2-1となって再度同じサインが出ると、今度は松本剛が投前に転がし、中島も好スタート。相手のフィールディングミスも誘って決勝点を奪った。

 状況に応じて目まぐるしく変わるサインにも動じず、作戦を遂行する能力は頼もしい。「僕はセーフティースクイズのランナーを務めるのが初めてだった。今まではバントをやっている側なので」と卓越した野球センスで状況を打開できるから、新庄剛志監督も重宝する。若いチームに必要不可欠な経験豊富な仕事人が、今季のチームを支えている。

写真=BBM
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