自らの役割を果たすべく、一球に魂を込めて食らいつく。西野真弘が、打席ごとにファウルで粘る“職人芸”を見せている。
プロ10年目を過ごす巧打者は「その打席でヒットが打てないにしても、打席の中でできることはあります。自分の役割としては、相手投手に球数を投げさせることも重要だと思っています。次のバッターにいい形でつなぐというのも役割の一つなので」と爽やかに語る。
抜群のバットコントロールが持ち味のヒットマンは、プロ通算8本塁打。2019年の本塁打を最後にスタンドインはない。
「もっとホームランを打ったりするバッターならどんどん打っていいんだろうと思いますけどね。でも、僕はそういうバッターじゃないので。少しずつコツコツ考えて(野球を)やるしかないので」
16年には143試合出場を果たし、翌17年には100試合に出場するも、その後は故障などもあって出場機会が少なくなった。
「いろんなことを考えるんじゃなくて、目の前の試合を必死にやるしかない。ここ数年、ずっとその意識で臨んでいます。ブレずに今もやれている。その意識で前に進んでいくしかありません」
今季はより1打席で10球以上、相手投手に投げさせるシーンも目立つ。
「少なからず、ただ単にポンポンと打っていくというよりは、自分の役割をしっかりと考えて打席に入っていきたいです」
頭と体をフル稼働。拭った汗が輝いて見えるのは、明確な意識と自らの役割と向き合っているからだ。
写真=BBM