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巨人・岸田行倫 試合の流れを読む力/これぞプロの技

 


 ピンチでも岸田行倫は冷静さを失わなかった。捕手の一番手として阿部巨人を支える背番号27の頭脳プレーが光った。「(前日も)得点圏で大山(大山悠輔)さんに打たれて嫌な感じがあったので。あまりないプレーですけど、キャンプのときに練習していた。大事なところでアウトを取れたのはすごく大きい」と胸を張ったのは7月16日の阪神戦(東京ドーム)だ。

 2対1の5回二死一、二塁。山崎伊織―岸田のバッテリーは前日に決勝打を浴びた大山を迎えた。1ボールからの2球目を待っていた岸田のミットが、グッと下に向けて下がった。これが合図だった。山崎伊は素早く体を回転させて二塁へけん制。遊撃・門脇誠が捕球し、二塁走者をタッチアウト。試合はこのまま1点差で逃げ切り、辛勝した。最大のピンチを救ったプレーを阿部慎之助監督は「岸(岸田)がよく見ていたね。ナイスプレー。あれでピシャッと(悪い流れが)止まった」とたたえた。

 打っては8月3日のヤクルト戦(東京ドーム)の2回、バットを拳一つ分以上も短く持って決勝の3ランを左翼席へ運んだ。「(好機で)1人目の打者が三振とかしてしまうと一気に次の打者にプレッシャーが掛かる。何とか前に飛ばそうと」と、攻撃の流れを意識して工夫を加えた。

 試合の流れを読むことができるのが岸田の持ち味。阿部監督は「失敗が経験になる。その積み重ねが多いほど経験豊富と言われる」とメッセージを送る。クレバーな捕手は、まだまだ成長を続ける。

写真=BBM
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