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逆転CS進出へ、攻守にさらなる貢献に期待がかかる
鮮やかな大逆転を締めくくったのは、
辰己涼介外野手のサヨナラ打だった。7月28日の
ロッテ戦(
楽天モバイル)。7対7で迎えた9回一死二、三塁。辰己が益田直己の内角スライダーを中前へ運んだ。6回には4号3ランを放ち、6点差逆転勝ちに貢献した男は「まだ8回くらいやと思ってた」と、らしさ全開で振り返った。
9月8日時点(以下、同)で、121試合に出場し安打数はリーグトップの133本。打率.294は同2位。自身初となる打撃部門でのタイトル獲得が見える位置につけている。普段は自慢の“辰己節”で本音を語ることは少ないように見えるが、過去には「圧倒的な数字を残したい」と語った。
2021年から3年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得している守備の名手。投手陣から「守備の人」といじられたこともあるだけに、打撃にかける思いは人一倍強いだろう。特にこの数年は、両脇が開かないよう両腕をゴムチューブで縛った状態でスイングするなど、オフの段階から練習に工夫をこらしてきた。その甲斐あって、課題だったミート力は確実に向上している。
タイトルを争うライバルは強力だ。打率.311で2位以下を大きく離しているのが
ソフトバンクの
近藤健介。安打数は辰己と4本差の129本で2位につけている。同日時点でソフトバンクより2試合多い22試合が残っているが、このまま逃げ切るのは容易ではないだろう。
ただ今江監督も「勝負強さというより、打撃技術そのものが上がっている」とその打棒を評価する。6年目を迎えた19年のドラフト1位入団は、まだまだ打ちまくる。
写真=BBM