育成出身2年目の松山晋也にとって、モチベーションはタイトル。「8回の男」としてシーズン完走が見えている右腕の目の前に見えているのは最優秀中継ぎ投手のタイトル。初の一軍開幕からホールドポイントを積み重ねている。
9月6日の
広島戦(マツダ広島)では、いつもの8回に出番がやってきた。代打・
野間峻祥と
秋山翔吾の連打で無死一、二塁。
上本崇司を直球で二ゴロ併殺打に抑える。続く
小園海斗の四球で二死一、三塁となったが、
堂林翔太をフォークで空振り三振に仕留めて無失点で乗り切った。
「ピンチをつくってしまいましたが、ゼロで帰ってこられてよかったです。タイトル獲得をモチベーションにやっていきます。今後も最高の準備をして臨みます」と松山が安堵の表情を見せた。
八戸学院大から育成1位で入団し、昨季一軍デビュー。150キロ中盤の速球と落差の大きなフォークで早めの勝負を仕掛ける。
立浪和義監督は「ボールの勢いがあって、「思い切って腕を振れる度胸もある。非常に期待しています」と目を細める。
松山は「いつも野球ができているのは野球の神様のおかげです。神様が見てくれているので、毎日しっかり頑張ります」と語った。
ドラフト前夜、大学のグラウンドに布団を敷き、星空にプロ入りを願った独自の感覚を持つ背番号90。翌朝、寝ていたらほかの部活の部員に起こされたエピソードは懐かしい思い出となっている。
「人生を変えるために野球をやっています」。彩り豊かな物語とするために、何としてもタイトルを手にしたい。9月23日現在、ホールドポイントでトップを走る
阪神・
桐敷拓馬とは1差。追いつくことができるか。
写真=BBM