開幕投手を務めた今季はローテーションの柱としてチームを支えている
エースの自覚があふれている。2024年の
伊藤大海は、マウンド上でチームを引っ張ってきた。「チームに勝つチャンスを与えるゲームメークというか、1イニングでも長く先発投手がマウンドに立っているってことが優位に進んでいる結果」。9月18日の
ソフトバンク戦(みずほPayPay)では2試合連続となる今季4度目の完封勝利を挙げた。24日時点で投球回はチームトップの160回1/3を数える。
初めて開幕投手を務めた今季は進化しながらシーズンを戦ってきた。前半戦は7勝を挙げたが、オールスター前の最後の登板となった7月21日
ロッテ戦(ZOZOマリン)は5回持たずに降板。ここでズルズルいかないのが今年の伊藤だ。「ストレートの握り方を、この1週間で変えた」と後半戦最初の7月28日の
西武戦(エスコンF)では今季2度目の100球未満の完封勝利、通称「マダックス」を達成した。
シーズン終盤にかけては“新球種”も投入した。「スラッターですね」。カットボールより球速が遅く、スライダーよりちょっと速い曲がり球で「真っすぐに近いような軌道」。直球はもちろん、得意のスライダー、スプリットを待っている打者に対しても幻惑可能となり、投球の幅を広げることに成功した。
同時にスプリットも改良した。「ツーシームっぽく落としていたけど、もうちょっと回転をかけて落ちていることにちゃんと理由がつけられるように」と威力を増した。常に高みを目指し、試行錯誤を結果につなげられるのが開幕投手を任された自覚の表れ。最多勝と最高勝率の2冠も視野に入った伊藤には、エースと呼ばれる理由が詰まっている。
写真=BBM