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オリックス・T-岡田 特別な場所での最後の時「本当に充実していて、僕自身を成長させてくれた最高の時間」/伝統を背負って

 

オリックス・T-岡田


 伝統を紡いできたユニフォームを脱いだ。T-岡田が、9月24日、西武との本拠地・京セラドーム最終戦で引退試合に臨み、19年間のプロ野球生活に、終止符を打った。

 満員の京セラドームに登場曲が流れると、待ちに待ったファンはタオルをブンブン回した。5回二死一、三塁、代打で名前をコールされると、本拠地は熱狂の渦に包まれた。「特別な場所。育ててくれた場所」と振り返る思い出のバッターボックスに立つと初球を強振。惜しくも中飛に倒れ、唇をかみ締めた。

 7回に巡ってきた第2打席では鋭い打球を飛ばし、右前打を放った。プロ通算1193本目の安打に、強く拳を握りしめた。

 9回二死で現役最終打席に向かうと、割れんばかりの大歓声が耳に突き刺さった。右翼ポール際への特大飛球を放つと、スタンドがどよめいた。惜しくもファウルとなり、最後は空振り三振に終わったが「めちゃくちゃ幸せでした。ファンの方あってのプロ野球。こんなにも応援していただいて、本当に僕は幸せ者でした」。通算204本塁打を描いた『浪速の轟砲』がバットを置いた。

 引退セレモニーでは監督や首脳陣、同僚、家族や妻に感謝の言葉を届け、涙を流した。

「入団して19年間、長いようで短く感じた時間でした。本当に充実していて、僕自身を成長させてくれた最高の時間だったことに間違いはありません」

 最後は家族とともにグラウンドを一周。大きな拍手で背番号『55』のプロ野球人生は終幕を迎えた。

写真=BBM
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