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小園がさらに成長しなければチームの優勝も近づいてこない
歴史的失速で6年ぶりのリーグ優勝を逃したチームの中で、
小園海斗は一人、気を吐き続けた。9月18日の
ヤクルト戦(神宮)から自身最長の5戦連続適時打。9月最後の本拠5連戦を前にして14打点は、球団新の月間8度の勝利打点をマークした5月の15打点に次ぐ。終盤さらに磨きをかけるように、勝負強さを発揮した。
唯一の全試合出場でシーズン終了まで走り切ったが、高卒野手で2022年の
坂倉将吾以来、内野手で18年の
田中広輔以来。しかも、四番71試合を含めて142試合でクリーンアップに座った。「得点圏で多く回ってくる打順というのは分かっていますし、しっかり期待に応えられるようにという気持ち」。得点圏打率.341は堂々のリーグ4位という好成績を残す。
6年目にしてチームの中心選手へと成長を遂げた。入団以来、
鈴木誠也(カブス)から受け継いだ背番号「51」のユニフォームに袖を通す。かつては新人時代の
前田智徳や
江藤智も背負った球団の出世番号。鈴木は、今季の小園と同じ6年目だった18年に自身初の30本塁打をマーク。その背中には、まだ遠く及ばないとはいえ、
新井貴浩監督が「これから引っ張っていってもらわないといけない」と、将来さらにチームを背負って立っていかないといけない選手だ。
リーグ優勝の可能性が完全消滅した際、指揮官は「やっぱり自分の未熟さでしょう」と責任を受け止めた。指揮官の手腕以上に、投打において絶対的な柱を欠くチーム全体の若さが露呈されたと言える。小園を含めた若手に「彼らにとって初めての経験。すごくいい経験をしていると思う」と新井監督。優勝を逃した悔しさは、今後の糧とするしかない。
写真=BBM