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中日・涌井秀章 黙々と投げ抜く38歳/伝統を背負って

 


 中日のエース番号20は現在、涌井秀章が背負っている。かつて杉下茂権藤博星野仙一らが付けていた歴史ある番号。移籍1年目の昨年から着け、移籍組では2001年の川崎憲次郎以来だった。

 20年目の今シーズンは季は16試合に登板し、3勝5敗、防御率3.07。クオリティースタートは11試合。初回の失点は課題だが、38歳はいまだ安定感を誇る。

 今季最後のマウンドとなった9月22日の広島戦(バンテリン)では6回を投げて3安打1失点。実に4月24日の巨人戦(東京ドーム)以来となる白星だった。

 6回一死では、記録に残る対戦もあった。二番・矢野雅哉に22球粘られた末、四球を与えた。19球目のスライダーで1打席に投げる球数の日本タイ記録、20球目で新記録となった。

 22球目の148キロを内角に外し、勝負は決着した。「逃げた四球ではなかったから」と涌井。その後、二死一、三塁で迎えた坂倉将吾を外角142キロのスライダーで二ゴロに打ち取り、ピンチを脱した。

 立浪和義監督の今季限りで退任が発表された後での登板だった。試合後は指揮官と握手を交わした。

 涌井は「先発が勝たないとチームが上位にいけない。僕自身、5カ月勝ち星がなかった。責任を感じている僕はドラゴンズに呼んでもらえてよかったと思っている。今日勝って、監督と握手できてよかった」と言葉を紡いだ。

 フォークの神様・杉下、燃える男・星野仙一、登板過多で「権藤、権藤、雨、権藤」と言われた権藤……そして、黙々と淡々と投げ続ける涌井。選手の分だけ、スタイルはあっていい。

写真=BBM
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