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中日・板山祐太郎 長打力もあるユーティリティー/復活を遂げた男たち

 


 1年前、阪神をクビになった男は今年、ドラゴンズに欠かせない戦力になった。板山祐太郎にとって2024年は再スタートのシーズンとなった。

 9月16日の巨人戦(東京ドーム)。打線は5回まで巨人の先発・赤星優志を前に1安打と苦しんでいた。迎えた6回の先頭打者が板山だった。初球のフォークを振り抜くと打球は右翼席中段へ吸い込まれた。

「相手が良いボールを投げていたので、とにかくタイミング負けしないように。甘い球が来たら振る意識でした。ヒットの延長なのでたまたまですけど、最高の結果になってくれてよかったです」

 7月9日のDeNA戦(横浜)以来の3号ソロ。本塁打は昨季まで8シーズンで1本だけ。守備でも随所に好プレーを見せ、チームを何度も救っている。

 昨オフに8年間在籍した阪神から戦力外通告を受け、中日に育成選手として入団した。ファームでは内外野を守れるユーティリティーとしてアピールに成功。5月に支配下契約を勝ち取った。

「いろんなポジションを守れるのが自分の特徴だと思っています。堅実に投手が打ち取った球をしっかりアウトにできるようにやっていきたい」。その言葉どおりの堅実さと、勝負強さを見せたシーズンだった。

「昨年戦力外になり、もう1回チャンスをいただけたことに感謝し、野球ができる幸せを感じながらやっていました」

 65試合出場は自己最多であり、四、九番以外のすべての打順を経験した。若手に切り替わる過渡期に何でもできる中堅選手の存在は頼もしい限り。井上一樹新監督の下で移籍2年目もアピールしたい。

写真=BBM
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