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日本ハム・田宮裕涼 守って打って走る新時代の捕手/飛躍のシーズン

 

6年目の大ブレークでチーム躍進の原動力になった


 田宮裕涼の大ブレークがなければ、日本ハムのレギュラーシーズン2位フィニッシュはなかっただろう。初の開幕一軍入りを果たしたプロ6年目。3月29日、ロッテとの開幕戦(ZOZOマリン)ではスタメンマスクで先発投手の伊藤大海を好リードし、打っては先制打に1盗塁を記録。「今日は大海さんを勝たせることばっか考えていた」と“ゆあスマイル”が輝いた。

 春先の快進撃は夏場まで続いた。かねて定評のあった打撃では、前半戦は打率3割台をキープ。規定打席前後を行ったり来たりしながら、首位打者争いに参加するほどだった。守っては“ゆあビーム”と称される強肩で盗塁刺を連発。走っても隙あらば盗塁を重ねた。球宴はファン投票1位で初出場。チームの前半戦3位ターンの立役者の1人だった。

 後半戦は苦しみも味わった。好調だったバットが鳴りをひそめ、リード面でも苦心。思うようにいかない試合が続いたとはいえ、昨季までの5年間は一軍で計31試合の出場にとどまっていた超新星。シーズン終盤にかけて経験豊富な伏見寅威のスタメン起用が増えても、ベンチで来季以降の成長へのヒントをつかむ有意義な時間を過ごすこともできた。

 初めて一軍でシーズンを完走し、規定打席には届かずも打率.277、3本塁打、30打点。走っては10盗塁、守っては盗塁阻止率.367をマークした。最高の経験値を得た1年の始まりとなった開幕戦後に「僕は守って打って走る捕手になりたい」と言っていたように、新時代のキャッチャー像を築き上げる土台ができたシーズンとなった。

写真=BBM
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