高卒3年目のシーズンを終えた前川。これからまだまだ成長していく
「右京」と言えば、この男。
前川右京だ。関西スポーツ紙の見出しも、前川でなく「右京」と躍るケースがほとんどだ。
「ホームランは狙って打てないです。僕はしっかりコンタクトしないといけないと思っているんです」
岡田彰布監督が率いた2シーズンで見いだされ、成長した。ベンチで悔し涙を見せた場面もあるなど、名将の手の平の上で育てられた。
その岡田監督が高卒3年目になった前川について「レギュラー獲る過程やろ」ともらした時期がある。6月16日の
ソフトバンク戦(みずほPayPay)でプロ初の満塁本塁打を打ったときだ。この成長株をなんとか一人前にと思ったはずだった。2023年は33試合出場にとどまった。今季は3月29日の
巨人戦(東京ドーム)で六番・左翼で初の開幕スタメンでチャンスを与えられた。
しつこく粘り、最後まで食らいついていくタイプで、長打力よりも勝負強い打者としてアピールを続けた。中軸で起用されることもあったし、伸びシロは十分だ。
シーズン終盤も存在感を示した。9月18日の
中日戦(バンテリン)では、防御率0点台だった中日のエース・
高橋宏斗から3戦連続決勝打となる中前タイムリーで打ち崩している。
116試合出場、打率.269、4本塁打、42打点。
阪神の高卒3年以内で40打点超えは1992年の
新庄剛志(現
日本ハム監督)以来だった。
外国人らと外野のポジション争いに勝ってきた前川は「1球、1球に集中していきたい」とさらにレベルアップを目指す。
写真=BBM