数字に表れない部分でも献身的な動きを見せていた佐藤隼
49勝91敗3分け、首位と42ゲーム差という歴史的大敗で最下位に沈んだ今季。その中で投手陣の奮闘は称賛すべきだろう。特に先発陣は
今井達也と新人・
武内夏暉がともに10勝、隅田も9勝を挙げ、いずれも防御率は2点台。武内はリーグ2位、今井は同3位と抜群の安定感を誇った。その陰で、並々ならぬチーム貢献を果たしていたのが
佐藤隼輔である。
5月末に胃腸炎を患い、6月3日から同14日まで二軍調整となったが一軍復帰後はシーズン終了までの26試合で1失点。7月5日から10月9日まで22試合連続無失点を記録し、最終的には45試合、2勝1敗、防御率1.69の充実の成績でシーズンを終えた。「数字的にも、投球内容的にも去年より良かったので成長したところにはあるのかなと思います」と佐藤隼。だが、「もっと良い場面で投げられたとも思う」と、改善の余地はあったとの思いのほうが強い。
とはいえ佐藤隼も勝ちパターンの一人だ。だが、抑えにアブレイユ、8月からは故障復帰の
平良海馬がセットアッパーでほぼ固定。特に今年は先発陣が安定しており、長いイニングを投げるケースも少なくなかった上、左腕という事情からも佐藤隼には「何かあったときに」という、投げない可能性が高くとも常に肩を作っておかなければならない役割が課せられた。
あまりの負担に投手コーチに相談したこともあったという。それでも「チームのため」との思いは強く、「このペースにも慣れてきたので、来年に生かせればいいと思います」とポジティブに受け止めている。
勝利は、こうした陰の働きがあってのものだと、あらためてたたえたい。
写真=BBM