12月に40歳を迎えるが、まだまだ最前線を走る
確かな輝きを放った。9月23日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)、先発の
岸孝之はCS出場争いの重圧も背負いながら、9回3安打に抑えて今季2度目の完封勝利。チームの連敗を3で止める快投に
今江敏晃監督(当時)も「すべては岸です。今日は岸に尽きる」と絶賛した。
今季は22試合登板で6勝11敗。3年ぶりに規定投球回に到達し、(143回1/3)。防御率は6年ぶりに3点台を下回った(2.83)。コンディション不良もあり年間を通して先発ローテーションを守ることはできなかったが、堂々の成績を残した。
今季開幕前、チームの不安要素の一つとされたのが先発陣だった。守護神の
松井裕樹がパドレス移籍。その穴を埋めるべく、今江監督は
則本昂大を抑えに転向させると明言した。では、エース格が抜ける先発陣は誰がイニングを消化するのか。投手陣は明確な課題を持ってスタートした。
結論を言えば、579失点、チーム防御率3.73はともにリーグワースト。4位に沈んだ一因は投手陣にもある。ただ、
早川隆久と
藤井聖は11勝、則本昂大は最多セーブに輝く活躍。リリーフ陣では
藤平尚真と
酒居知史も奮闘した。そして、早川に次いでチーム2位の投球回を投じた岸も、必要不可欠な存在だった。
本人は心の底から、今季の成績を喜んでいる訳ではない。昨季は9勝5敗と貯金を作ったが、今季は黒星が先行した。10月9日の
西武戦(
楽天モバイル)は7回2失点。勝敗がつかなかった最終登板を終えると「もっと勝ちたかった」と悔しさをのぞかせたが、それでも登板後は球場中から大きな拍手が送られた。地元・宮城県出身で、通算164勝。ファンの人気も根強いベテラン右腕の活躍は、多くの人の心に届いたはずだ。
写真=BBM