何のために
巨人を離れて中日に加入したのか。中田翔にとっては、そればかり考える移籍イヤーとなった。
昨オフ、契約の見直しや破棄ができるオプトアウト権を行使して巨人と別れた。3年契約の1年目が終わったばかりの決断だった。
坂本勇人の三塁、
岡本和真の一塁起用により押し出された形。出番を求め、誘われ、決断しての中日入りだった。
スタートは好調だった。四番・一塁が定位置。翔さん、大将……。「呼び方は任せるわ」。強面の半面、心は優しくピュア。チームに溶け込むまで時間はかからなかった。
スイングの変化が先か、それとも腰痛が先か。答えは分からなくとも、打撃が低調になる。ゲームがあっても全体練習をキャンセルして試合に出る状態まで持っていく日も珍しくなかった。
移籍1年目の結果は62試合出場で4本塁打、21打点。5月中旬に登録抹消され、同月下旬に再昇格も、6月下旬から約3週間、二軍生活を送った。8月上旬に再びファームへ落ちると、そのままシーズン終了。期待してくれた立浪監督の退任のニュースもファームで聞いた。
「僕自身はふがいない1年になってしまい、申し訳ないという気持ちが強い。監督の下で野球がやれたのは幸せなことでした」
チームは
井上一樹新監督が就任した。一塁出場の目立った
石川昂弥は秋季練習から三塁に挑戦している。三塁の
福永裕基は二塁で汗を流している。
中田の2025年シーズン、一塁での出場可能性は十分にある。体を絞り、戦える姿で竜2年目は暴れたい。
写真=BBM