今季積み上げた38セーブは、2008年の
永川勝浩(現投手コーチ)に並ぶ球団タイ記録。
自己最多でチームトップの60登板に、栗林良吏は「自分の中で満足している」とする一方、「今年は負け数が多かった。負け数にこだわって、負けない投手になれるように」と6敗を悔やんだ。
8月までは自身初のセーブ王も視界にとらえていた。9月以降は9戦3セーブ。
球団ワーストの月間20敗というチーム事情はあったものの「責任を感じている」と振り返るのが、9月11日の
巨人戦(マツダ広島)。2点リードの9回に一死も奪えずに6失点。プロ4年目で初めてのセーブ失敗は「一生忘れない嫌な記憶」と、その後に4位まで沈んだ歴史的失速を象徴する登板となった。
オフにはシーズン前から決めていたという右肘クリーニング手術を受けた。「痛かったら二軍に落ちていた。手術を早めることもなく、1年間戦えた」と、精彩を欠いた終盤の言い訳にはしない。
すべては来季のフル回転を見据えてのことだ。昨オフに自身3度目の右肘手術を経て復活を果たした、先輩の
大瀬良大地の姿が背中を押す。
「大瀬良さんのように(手術明けで)パフォーマンスを上げることが一番大事」と、リハビリに励む日々を送る。
5月には通算100セーブを達成した。日本人投手史上最速タイ178試合目で迎えた節目にも「100回勝ったのは、うれしい」という言葉は栗林らしい。
来季は負け数を減らすこと、さらにセーブ数以上に「来年はセ・リーグで一番投げられるように」と意気込む。
その先に、来季中に残り41に迫る永川の球団歴代最多165セーブの更新が待ち受けている。
写真=桜井ひとし