アピールが止まらない。
2月10日の紅白戦(天福)、さらに今季初の対外試合となった同15日の
ヤクルトとの練習試合(浦添)でチーム1号。「しっかり結果を残して、初の開幕一軍を目指して頑張りたい」と意気込むプロ通算1本塁打の5年目・二俣翔一は、紅白戦と練習試合の計8戦で3本塁打。
さらに、3月5日の
DeNAとのオープン戦(横浜)の2回には、相手先発ケイのカットボールを左翼スタンドにたたき込んだ。ここまで実戦4本塁打で、強烈なインパクトを残している。
昨季は開幕3戦目で一軍昇格し、プロ初出場から80試合で打率.196。内外野6ポジションを守って貢献したものの、ユーティリティーの域は出なかった。それが一転して「穴が空いたところは自分が行くぞ! という意識」と、レギュラー争いのダークホース的存在に。
昨秋から「若手野手の中で抜けている」と評価してきた
新井貴浩監督は「技術的にだんだんとつかみつつあるというか、打席内で余裕を感じる。自信があるから結果として出てくるんだと思う」と、オフの成長に目を細めた。
左足を一歩引いた構えは、首位打者2度のDeNA・
宮崎敏郎をほうふつとさせる。「秋のキャンプで藤井ヘッドから『構えを低くしてスローイングのイメージで』と教わった」と、改良に取り組んだ末のフォームだ。
若手野手は、昨秋キャンプから全体練習後の連続ティー、ロングティー打撃を日課に、徹底して「振る力」を鍛えてきた。指揮官は「結構ハードな練習だったと思う。と、同時に『あれ? みんなできるじゃん』と思った」と、手応え十分にキャンプを打ち上げた。
育成出身の22歳は「試合でも本当に100%ぐらいのスイングが出せている感覚がある」と言う表情からも充実感がにじむ。
今季、大化けの可能性を秘めた“マティー”から目が離せない。
写真=下田知仁