
中日から移籍後、初登板となった開幕2戦目にうれしいパ初白星を挙げた
福谷浩司は謙遜していた。「勝ったのはうれしいですけど……僕じゃないっすよね、ヒーロー」。開幕2戦目となった3月29日の
西武戦(ベルーナ)。同点の9回に登板すると三者凡退で無失点に抑えた。試合を延長戦に持ち込んで、10回に味方打線が勝ち越しに成功。そのままチームは開幕2連勝となって、自らに移籍後初登板初勝利が舞い込んだ。
本来のヒーローは決勝打を放ち、好守で自分を救ってくれた
上川畑大悟だと自負していた。「今日は大悟のプレーに尽きると思います。感謝しても、し尽くせないプレーだったと思います」。9回先頭で対戦した
古賀悠斗の二塁への強烈な打球をショートバウンドで好捕し、難なく二ゴロにさばいてくれた。リズムに乗せてくれた守備職人に感謝した。
昨オフ、中日から
日本ハムへFA移籍を決断した。決め手はオファーされた理由が「理解できなかったところ」。若手中心で勢いのあるチームが、ベテランの域に入った自分の獲得に乗り上げた理由とは―。秀才で知られる右腕でも頭を悩ませる“難題”だったが、
栗山英樹CBOは「そこまでモノを考えて野球をやってきた選手だからこそ、年齢関係なく進化を続けられると信じている」と明快に“解答”した。
昨オフはプエルトリコのウイン
ターリーグにも参加するなど飽くなき向上心を持つ右腕だからこそ、新たな環境で新境地を開く可能性も十分ある。「どういう世界が見えるんだ」と飛び込んだ新天地で、福谷にとっては明るい未来が見えてきそうなデビュー登板となった。
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