チームの先頭に立つことに若さは関係ない。高卒7年目の戸郷翔征は誰もが認める投手陣のリーダーだ。「柱となってやらないといけない」という今年1月の言葉にも、自覚がにじんでいた。
この3年間は3年連続で12勝をマーク。長く投手陣の大黒柱として君臨してきた
菅野智之が、今季からMLBのオリオールズへと移籍し、新たな挑戦に踏み出した。背中を追ってきた背番号18からは「そろそろ戸郷には圧倒的な数字を一回でも出してほしい。戸郷なら大丈夫」とハッパをかけられた。
春季キャンプではチームメートから相談を受ける場面も増え、「菅野さんもいなくなりましたし、柱として何か伝えることは伝えたい。今まで経験してきたことは伝えたい」と頼もしい言葉も増えた。
昨年に続いて戸郷を開幕投手に指名した
阿部慎之助監督は「自分が引っ張っていくんだっていう姿も見られる」と信頼を口にする。3月15日に行われたドジャースとのプレシーズンゲーム(東京ドーム)ではまさかの3本塁打を浴びるなど5失点を許したものの、開幕前の最終登板となった同21日の
ロッテとのオープン戦(東京ドーム)では3回無失点。「(新球の)カットボールは(打者が)『おっ』という反応をしてくれた。本当にいい状態で入れる。自分自身にも期待したい」と、新たなシーズンのスタートに胸を高鳴らせていた。
開幕投手を務めた3月28日の
ヤクルト戦(東京ドーム)こそ不本意な投球に終わったものの、念願の沢村賞とチームのリーグ連覇、その先の日本一という目標に向かって、若きエースがさらなる進化を遂げていく。
写真=BBM