見渡す限り、ファンがスタンドを真っ赤に染めていた。
ドラフト3位・岡本駿は、3月28日の
阪神との開幕戦(マツダ広島)で4点ビハインドの9回に登板し、堂々の無失点デビュー。「オープン戦は集中して声援が聞こえてなかったんですけど、今日はすごく聞こえた。やっぱり、すごい応援だなと感じました」とプロの第一歩を踏み出した実感をかみしめた。
好守に救われた場面もあったが、被安打1と危なげなかった。マウンドに送り出した
新井貴浩監督は「初登板で開幕戦の大観衆の中で、大したもの」と賛辞を惜しまなかった。
開幕戦、両親こそ生観戦できなかったが、甲南大の恩師・谷口純司監督やコーチ、友人6人らがスタンドで見守った。同大初のNPB選手。「投げられて良かったです」と歴史を刻む登板で好投を届けた。
育成1人を含む大卒新人5人の中で唯一、開幕一軍入りを果たした。大学1年春から投手に本格転向して4年足らず。当初は“素材型”として考えられていたが、結果で首脳陣の方針を一変させた。
実戦初登板となった2月19日の
ロッテとの練習試合(コザ)で圧巻の3者連続三振。3月14日のロッテとのオープン戦(マツダ広島)の最速151キロは、自己最速を2キロも更新した。開幕前は、7戦8イニングで9三振を奪った。
新井監督が「変化が分かりづらい」と一番の魅力に挙げる、縦の変化が特徴のツーシームは、大学4年春に覚えたばかりだ。
「チームを勢いづけられるような、点を取られないピッチングを見せたいです」と意気込むルーキー。
4月11日の
巨人戦(マツダ広島)まで、4試合に登板。1イニングずつ計4回を投げ2安打4奪三振1四球、無失点の投球を続けている。
今後、さらに周囲を驚かせるような成長を遂げていく。
写真=井沢雄一郎