確信はなかった。松尾汐恩は正直だった。「風で入ったんじゃないかな……って。今までフェン直(フェンス直撃)みたいなのが多くて、ホームランは打てへんのかな? と思っていたので」。ホップ、ステップ、ジャンプのプロ3年目。3月30日の
中日戦(横浜)でプロ初本塁打を放った。1点をリードした5回先頭。1ストライクから
メヒアのスライダーを左翼席へ運んだ。「やっと入った。本当に気持ちよくダイヤモンドを1周できた」。本拠地の大歓声を独占。格別だった。
「与えられたチャンスは全部、つかみ取るイメージで」と開幕3戦目でスタメンを託された。待望のプロ1号だけでなく、先発・
平良拳太郎から4投手を最小失点でリードした。2対1で勝利し「勝つという強い気持ちで挑めた。自分としても、だいぶ捕手らしくなったという風には思います」と充実の表情。
三浦大輔監督も「自分でリードして勝てたことを自信にして」とさらなる成長に期待した。
2023年ドラフト1位で入団。名門・大阪桐蔭高で技量を磨き、3割30本塁打30盗塁のトリプルスリーを目標に掲げた。昨年は1軍で27試合に出場。日本シリーズでも安打を放った。「目配り、気配り、集中力!」と、いつもそばで目を光らせてくれるのが
戸柱恭孝。14学年上の先輩捕手とは自主トレから濃密な時間を過ごし、一歩でも近づこうと懸命だ。今季4度目の先発だった4月27日の
広島戦(横浜)はフル出場し、
バウアーの初白星をアシスト。「負けていられない」と正捕手の
山本祐大にも勝負。脅かす力はある。
写真=BBM