今シーズンは自身初の開幕投手を任されたが、そこで黒星を喫すると、6月までに2勝7敗と大きく負け越し。「自分が勝っていればチームも全然違っていた」。もどかしい時間が長かった。
ステップの幅を微調整したり、リリースの位置を上げたり、試行錯誤が続いた。それが実り始めたのは7月に入ってからだった。
同16日の
阪神戦(甲子園)。4安打7奪三振、無四死球で5月2日の
広島戦(マツダ広島)以来の3勝目を今季初完封で飾った。
「しっかりとストライクゾーンの中で全部の球を操ることができた」。長いトンネルを抜けると、8月は3勝1敗、防御率1.89と目指している数字に戻った。被打率.178と直球の威力が戻り、それとともにスプリットの効果も増した。
苦しい期間はベテランの言葉に励まされた。勝てない期間、
大野雄大に「お前はマウンドに立ち続けることが大事」と励まされた。「大野さんに引っ張ってもらいました」。エースは孤独だ。そのことを誰よりも味わってきた左腕からの激励は、何よりも心強かった。
8月30日の
DeNA戦(横浜)では7回を7安打3失点。勝敗はつかず7勝目は逃したが、今季の投球回を148.1回とし、3年連続となる規定投球回に到達。ドラゴンズの高卒5年目以内で3年連続の規定投球回達成は、1975〜77年の
鈴木孝政以来の快挙となった。
9月20日の
ヤクルト戦(バンテリン)は
祖父江大輔、
岡田俊哉の引退試合だった。初回の一死から岡田のバトンを受けて7回まで無失点で投げ抜き、8回から祖父江にバトンをつないだ。今季7勝目はエースとして2人への思いが詰まっていた。
写真=BBM