
今季も高い守備力でチームに貢献した
2024年まで4年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞した
辰己涼介は、くせ者でもある。4月3日の
西武戦(
楽天モバイル)。チームが2点リードで迎えた8回無死一塁、西武の
野村大樹が記録した中ゴロは、名手の好判断で生まれた。
一塁走者は四球を選んだ
外崎修汰。続く野村の放った浅めのフライはフラフラと右中間へ上がった。どれほど足が速かろうとも、捕球できるとは思えない。だが、中堅手は辰己だ。外崎は一、二塁間の真ん中で飛球と相手中堅手の動きを観察した。
走者の視線や動きを全て見透かしたように、辰己は一度上を見た後、グラブをはめた左手を自ら顔付近まで上げた。それを見て一塁へ戻ろうとした外崎。辰己はあえてダイブせずにワンバウンドで捕球し、二塁へ矢のような送球。本来ならポテンヒットで無死一、二塁とピンチが広がっていたはずだったが、見事な判断でアウトを一つ取った。
試合後、多くは語らなかった辰己。ただ、外崎の脳裏には辰己の広大な守備範囲がインプットされていたのだろう。相手が持つ印象さえも利用したようなプレー。これぞ、プロと呼べるアウトの取り方だった。
24年は、中堅を守って397刺殺をマーク。1948年の
青田昇(
巨人)の391を上回り、外野手シーズン最多刺殺のプロ野球記録を76年ぶりに塗り替えた。もはや代名詞とも言える美技は、打球判断を含めて素早く的確な判断によってもたらされる。西武戦で見せた中ゴロも、その頭脳が生んだファインプレーだった。
写真=BBM