どんなピンチを迎えても、ほとんど表情が動くことはない。
「一試合一試合、行けるところまで行こうと思って投げています」
森浦大輔は、その一心で目の前の打者と向き合う。
今季60登板は、ルーキーだった2021年の54登板を上回る自己最多。借金20の5位と苦しんだチームの中で、縁の下の力持ちとしてシーズン通してブルペンを支えた。
7月31日の
阪神戦(甲子園)、それまでセットアッパーの役割を担った左腕は、3点リードの9回のマウンドに上がって無失点。
「7、8回と違うのは、3点差で1点取られてもいいやと。打者を抑えることに集中できた」
クローザーという役割にも、普段以上の余裕を持ってプロ初セーブを手にした。
開幕から
栗林良吏が精彩を欠き、その後にダブルストッパーを務めたハーンも不安定な投球が目立った。そこで白羽の矢が立ったのが、森浦だった。
初セーブから約1カ月の8月29日の
ヤクルト戦(神宮)で10セーブ目。あっという間に球団日本人左腕で1994年の
大野豊以来31年ぶりの2ケタに到達させた。25ホールドも、2022年から一つ更新。
自身初の“大台”となった防御率1.63を含め、個人成績は自己最高のシーズンとなった。
安定感を評価され、11月の侍ジャパン強化試合の代表メンバーに選出された。3年ぶりの日の丸ユニフォームだ。
来春WBCの“挑戦権”を手にしたが「シーズンどおり落ち着いた自分のピッチングができたらなと思っています」と冷静そのもの。派手さはなくとも、堅実な投球で侍ジャパンの勝利を支えるピースとなる。
写真=兼村竜介