今年も、中崎翔太は広島ブルペンには欠かせない存在だ。
昨季まで通算134セーブを挙げた
栗林良吏が先発に転向。オープン戦に入っても勝ちパターンの形は見えていない成長過程のチームにとって、16年目の33歳は不可欠な精神的支柱だ。
20代前半で抑えを任され、3連覇に貢献。
2019年から勝ちパターンから外れ、21年までの2年間はケガの影響もあり1ケタ登板に終わった。二軍暮らしが続く日々でも、研さんを怠らなかった。
直球の球威と精度の向上を重ね、球速は150キロ台にまで戻った。習得に励んできたフォークが新たな武器となり、スライダーと
シュートの左右の変化球を織り交ぜる。
昨季、見事に完全復活を遂げ、7年ぶりに50試合登板をクリア。2ケタホールドはセットアッパーに回って連覇に貢献した17年以来だった。
今季は開幕から勝ちパターン入りも期待される。一時は下半身の張りで別メニューとなるも、間もなく復帰。順調に調整登板を重ねる。
「誰がどこで投げようと変わらない。みんなが与えられたところで役割を全うできれば」
フォア・ザ・チームの精神は後輩たちに受け継がれている。
練習に取り組む姿勢も、若手の生きた教材だ。
今季から選手会長も務める
島内颯太郎は「準備が徹底していて、日頃から決して手を抜かない。ほかの選手を『ザキさんがやっているからやらないと』という空気にしてくれる。若い選手を和ませてくれます」と感謝する。
中崎の存在には、有形無形の影響力がある。
写真=井沢雄一郎