
「根っこから野球を楽しめている」という左腕は節目の年に無心で取り組む
来たる次の出番に向け、
田嶋大樹は静かに爪を研いでいる。
ジェリーのコンディション不良により、急きょ代役を託された開幕3戦目の
楽天戦は2失点を喫した初回限りで降板。
岸田護監督も「二軍でもう少し投げようかというところで、ちょっと苦労をかけた」とかばうコメントを残し、翌日からファームでの再調整となった。
ただ無心に、ひた向きに白球と向き合う。30歳を迎える今シーズンのテーマは、「無欲」。悟りの境地を追い求める左腕は「求めれば求めるほど自らを苦しめている」と、目先の結果にとらわれず、一喜一憂しないことを掲げて日々を過ごしている。春季キャンプでは調整を一任され、例年よりややスロー調整。5月頃にピークを持ってくる構想を思い描き、ここからさらに状態を上げる算段だ。
7勝を挙げた昨季は無走者でも試合中にワインドアップとセットポジションを使い分けるなど、変幻自在の投球フォームで相手を翻弄。「コロコロ変わるのは僕もあまり好きじゃない。しっかり土台の部分をつくり上げたい」と、今季は投球フォームの固定を掲げ、腕から始動する投球フォームの習熟に取り組んできた。
「ファームの試合でもそうなんですけど、投げ終わったあと、楽しかったと思えるような野球ができている。根っこから野球を楽しめている」
充実の取り組みの成果を、あとは表舞台で発揮するのみ。「1年でも長く野球をやりたいと強く思い始めている。僕の中での大きな変化」。節目の年齢を迎え、さらなる成長を追い求める。
写真=BBM