苦しいスタートとなった広島に、先発転向したばかりの栗林良吏が、ゴールデンウイークまでに3つの貯金をもたらした。
自身の勝敗は3勝1敗ながら、登板5試合でチームは4勝1敗。黒星が大きく先行する中で、その存在感は際立っている。
森下暢仁と
床田寛樹の二枚看板に加え、投手最年長の
大瀬良大地が振るわない中、先発陣の勝ち頭となっている。
圧巻だったのは、初先発登板となった3月29日の
中日戦(マツダ広島)だ。7回まで完全投球。8回先頭の
細川成也に初安打を許しながらも、崩れることなく打者28人で完封勝利する“準完全”を成し遂げた。
開幕前、左足を大きく上げるフォームを微修正したことで投球が改善された。オープン戦中盤までは、より打者に近い位置でリリースしようとするあまり、軸足である左足が早く離れてしまっていた。
左足を踏み込んでからのコンマ数秒、しっかりと両足で地面をつかむようにして力を伝える――。真っすぐの球質が変わり、変化球の精度も向上した。
フォーム改善が安定感につながっている。5月15日の
阪神戦(甲子園)までの登板6試合すべてでクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)をクリア。勝ち星がつかなかった4月5日の阪神戦(マツダ広島)を含め、4度チームの連敗を止めている。
しかし、試練が訪れた。5月22日の中日戦(バンテ
リン)で、初回途中に右足の違和感を訴え降板。翌23日に出場選手登録を抹消された。右内転筋の肉離れと診断され、離脱は1カ月超と見込まれる。
負傷交代となった試合でも、チームの勝利にこだわり続けた。防御率0点台だった序盤は「10点台でも20点台でも、10勝できれば別に。どちらかというとチームが勝てればと思う。まずはチーム。自分が投げた試合にチームが勝てるように」と言い切った、新たな先発ローテーションの柱。
勝ち星だけでなく、先発としてのメンタリティーの面でも、チームに与える影響は大きい。
写真=大賀章好