今季育成からはい上がり、レギュラーポジションをつかみつつある名原典彦は、地元・瀬戸内高で甲子園出場を経験している。
3年春、2018年のセンバツで、茨城・明秀学園日立高と1回戦で対戦した。名原は5打数1安打だったが、9回に逆転を許して敗退。夏の甲子園出場はならず、卒業後は青森大へ進学し、22年秋、育成ドラフト1位で地元球団から指名を受けた。
支配下選手への道は険しかった。入団してしばらくは二軍でも代走での出場が多く、打撃面では課題も多かった。
3年目まで打率.250を上回ったのは、2年目の.256のみ。今季も打率.242と、打撃が飛躍的に進化したわけではない。それでも、俊足と守備力が一軍に求められた。
5月21日に支配下選手登録され、同日に一軍昇格。翌22日の
中日戦(バンテ
リン)でプロデビューした。
課題と思われた打撃は、千載一遇の好機を前に「気合と根性」でカバー。コンパクトな打撃で安打を量産する姿は、低迷するチームの希望の光となっている。
外野のレギュラーの一角を奪う勢いは衰えない。8月6日の
巨人戦(マツダ広島)は「ピースナイター」として行われるが、同日に着用する特別ユニフォームのお披露目会見には、チームを代表して出席した。
「小学校のときから8月6日には平和学習もありましたし、平和記念公園に千羽鶴を届けに行ったりする文化がすごく身近にありました。あらためて野球ができていることに感謝しながら、当日は全力でプレーしたいと思います」
地元広島で野球ができる喜びを今、誰よりも感じている。
写真=井沢雄一郎