この男なくして竜の浮上はあり得ない。2大会連続でWBCメンバー入りした若きエース。前半戦は10試合登板で2勝6敗、防御率4.38。1カ月半に及ぶ二軍暮らしも味わった。逆転CS進出へ背番号19はフル回転を誓う。
発したコメントが苦しかった日々を物語っていた。7月20日の
ヤクルト戦(神宮)。8回を3安打2失点(自責点1)で復活を告げる今季2勝目を手にした。そのゲーム後だった。
「今日の登板は二軍のコーチ陣が僕と同じくらい不安になりながら見てくれていたと思います。そういう人たちに向けて投げたかったです」
白星は4月26日のヤクルト戦(バンテリン)以来、およそ3カ月ぶりだった。苦しかったし、悔しかった。たまったうっぷんを晴らしたかった。
降格したのは6月上旬。二軍に合流したナゴヤ球場で、いきなりブルペンで250球を投げた。
「僕から話すことは何もありません」。投げてから、右翼、左翼のポール間を20本走った。明らかに、投げ過ぎ、走り過ぎ……。そこから首脳陣は背番号19の監視役となり、過度なメニューの制止する任務を負った。
これまでとこれからはすべてつながっていて、どんな自分になりたいのかを考える日々だった。
井上一樹監督は「チームが上がっていくための要素に、宏斗の成績は直結していると思う。1つでも多く、チームも宏斗自身も納得する試合をつくってもらいたい」と語る。
8月7日の
阪神戦(京セラドーム)は右手中指の皮がめくれるアクシデント。5回80球で降板となったが、前半戦と比べて状態は明らかにいい。お楽しみはこれからだ。
写真=BBM