シーズン序盤から先発陣に故障や不振が相次いだ中、チャンスをものにしてローテーションに食い込んだ。篠木健太郎は3試合の登板にとどまった昨季と今季を比較し「去年いろんなことを経験させてもらい、すべての面で大きくなった。心の持ちようは変わっている」とうなずく。
千葉・木更津総合高、法大を経てドラフト2位で入団した2年目の右腕。昨季はチームの新人でただ一人、開幕の一軍メンバーに名を連ねたが、弱肉強食の世界で食らいつくのが精いっぱいだった。精神面の余裕はなく「全く分からない状況で投げていた」というのが本音だ。
東京六大学リーグで通算49試合に投げて14勝を挙げた実力者。ワインドアップから闘志を前面に出して腕を振り、150キロを超える直球を軸に球威で真っ向勝負する。ルーキーイヤーは大半を二軍で送ったが、イースタン・リーグで31試合に登板して経験を積んだ。
今季は前半戦で9試合に投げてプロ初白星を含む4勝を挙げた。7月4日の
ヤクルト戦では、130球を投げ抜いてプロ初完投勝利。くしくも、大学時代に慣れ親しんだ神宮球場が舞台だった。最後は法大の後輩にあたるドラフト1位ルーキーの
松下歩叶を直球で押し込んで遊飛に仕留めた。
「大学野球では味わってこなかった雰囲気の中で投げられた。ビジターだったけど、すごい声援を感じることができて幸せだった。成長したと見ている方に思っていただけたのならうれしいです」。一人ひとりの打者に集中しつつ、球場の熱気を実感した心の余裕こそが進化の証しだった。
写真=BBM