持ち前の打力が戻ってきた。
広島の一番手捕手争いを続ける持丸泰輝が、打撃の状態を上げている。下位打線の1人として結果を残し、チームの得点力増に貢献している。
二軍を含めても、これほどコンスタントにマスクをかぶった経験はない。9月7日現在、捕逸はリーグ最多の8個を記録し、盗塁阻止率も1割台と苦戦する。
守備や配球面へ意識をすり減らす代償のように、打率は5月10日の.292をピークに下降。8月に入り、スタメンマスクの機会も減り、8月中旬には一時2割を切った。
福地寿樹、
新井良太両打撃コーチと意見を交わしながら、微修正を重ねた。
「ちょっと大振りしてしまっていた。疲れもあってか(上体が)前に流れるような打撃になっていたので、コンパクトにと意識しました」
初めて過ごす激動の日々に、バットを右手でラケットのように使ってしなやかに打ち返す持ち味が失われていた。自身の打撃スタイルを見つめ直し、復調のきっかけをつかんだ。
4試合ぶりのスタメンとなった18日の
中日戦(マツダ広島)では3安打3打点。翌19日には6号ソロを放った。
打つだけではない。6点ビハインドから一挙8得点を奪って逆転した25日の
DeNA戦(マツダ広島)の5回。3点差とし、なお一死満塁で迎えた打席だった。カウント1-2と追い込まれながら、低めのいいコースから曲がってきたカーブにバットが止まった。
直前には低めストライクゾーンからボールとなるスプリットに空振りしたが、捕手としての思考から冷静に見極めることができた。
捕手としての経験も、『打者持丸』を成長させる糧となる。
写真=井沢雄一郎