契約更改交渉を終えた阿部寿樹は、言葉に決意をにじませた。500万円増の年俸6300万円（金額は推定）でサインした後、会見で色紙に『勝』の一文字を書き記した。36歳を迎える25年シーズンに向け「シンプルに勝ちたい。必要とされたところで一生懸命やるしかないと思うので、しっかりコンディションを整えて、いいパフォーマンスができるようにやっていきたい」と意気込んだ。

　楽天移籍2年目となった2024年シーズンは、前年と同じく78試合に出場。打率は.255から.227と下がったが、9本塁打、32打点はともに上回った。光ったのは、勝負強さと長打力だ。

　8月21日のソフトバンク戦（楽天モバイル）。1点を追う9回、同点に追いつきなお一死三塁。外角低めの変化球をすくい上げた打球は、左翼フェンスを直撃した。四番で先発しながら送りバントも記録した試合で、プロ初のサヨナラ打を放って勝利に貢献した。

　一塁、三塁に左翼と内外野の守備をこなして、打順も二、四、五、六、七、八番とユーティリティーぶりを発揮。ただ、シーズンを通して好調を維持することはできなかった。「悪くなったときに割り切れないで、ズルズルいった。もうちょっと割り切って、良いときを長くしたい」と25年はシーズンを通じての活躍を誓う。

　長打率は自己最高の.419だった。「長打率はそこそことれたと思う」と納得の表情を見せたが、「もっと長打率と出塁率を上げたい」と上を見据えた。年男となる25年、キャリアハイの成績を残し勝利に貢献する。
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