十手、十干、十把ひとからげの読みをずいぶん長い間「じゅって」「じゅっかん」「じゅっぱ」だと思い込んでいた。正しくは「じって」「じっかん」「じっぱ」である。「十」は、拗(よう)音を作るときは「ゅ」の音になるが(例えば十二支=じゅうにし)、先の例はすべて促音「っ」となる。モーゼの十戒(誡)も「じゅっかい」ではなく「じっかい」と読まなければならない。映画史上に名高いスペクタクル巨編『十戒』(日本公開58年)を、さる高名な映画評論家が「じゅっかい」と発音していたのでアラ、アラと思った。
でもまあ、こういう「誤用」も、いつの間にか「正用」になってしまうのかもしれない。多勢に無勢というヤツである。
プロ野球選手にも、この多勢に無勢で正しい発音をあきらめてしまった人がいる。
阪神、毎日の名捕手だった(40~57年)
土井垣武。この名前の読みは「どいがき・たけし」になっているが、正しくは「どいかいと・たけし」なのだそうである。しかし・・・
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