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本塁に続き、併殺崩しのスライディングが今年から禁止へ

 

 併殺崩しのスライディングがルールで制限されることになった。これまでと同じプレーをしても試合の結果は変わる。昨年10月10日、地区シリーズでドジャースのチェイス・アトリーが相手遊撃手をスライディングで骨折させたプレーは、併殺を阻み、ドジャースを5対2の勝利に導いた。身体を張った長年教え込まれてきたチームプレーである。それが今年から同じことをすると、打者も走者もアウトでダブルプレー成立となる。

 ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは、選手の身の安全のためにはルールを変えることを厭わない。MLBのオーナーたちは選手に多額の投資をしている。ある試算では1点の価値は20万ドルとのこと。そのために、1000万ドルのスター選手を一瞬で壊されてはたまらないという考え方である。

 とはいえ、今回のルール変更で、本当にケガは減らせるのか。今まではネイバフッド(近所)プレーといって、内野手は送球を受けた瞬間、必ずしも二塁ベースを踏んでいなくても、足が近くにさえあれば、衝撃を避けるため、踏んでいると認められた。それが今回の変更で、野手はベースを踏んでいなければならないし、そこをインスタントリプレーで厳しく見る。

地区シリーズでドジャースのアトリー[写真下]がダブルプレーを避けるためにメッツ・テハダ選手[写真上]にスライディング。大ケガになった。今年からこれが禁止される/写真= Getty Images


 そして併殺も成立しにくくなる。野手はこれまで送球を受けてすぐに一塁に転送した。それが確実にベースも踏もうと思えば、コンマ数秒遅れる。それが致命的になる。流れるような、6-4-3の併殺プレーが決まったあと、二塁手がきちんとベースを踏んでいたかどうか、映像で確認するのにいちいち試合が止まるのもいただけない。加えて、野球が安全性を重視することで、失われるものがある。ジョン・マグロー監督(1899年〜1932年)は「リトルナポレオン」と呼ばれ、勝利至上主義の猛将だった。野球が人気スポーツとして発展していった時期、時にダーティであっても、彼が考えたさまざまな戦術や、プレー手法、小細工などが野球というゲームを育み、深みを与えてきた。

 YouTubeを見れば、70年代、ピート・ローズやハル・マクラエがやっていた正面衝突を見ることができる。全速力で走り、そのままスピードを緩めず体当たりに行く。捕手や、内野手の身体が大きく跳ね飛ばされる。今ではほとんど見なくなったが、アメリカではこのようにプレーされてきたのだ。「二塁ベース上の併殺崩しも、長い間行われてきたプレーで、野球というゲームの一部だった。あまりいろんなものを急に変え過ぎるのはどうか。ゲームそのものが変わってしまうのではないか」。現場のコーチや選手の間で、少なからずこんな意見はある。

 とりあえず今回のルール変更も2014年の本塁ベース上の衝突防止と同じで、現場は混乱するのだろう。開幕後ある試合で、某選手の果敢なスライディングで、打者も走者もアウト、初の併殺判定が下る。プレーは間違いなくニュースになり、微妙な判定であれば侃々諤々の議論に発展する。落ち着くまで、しばらくかかるだろう。
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