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関西六大学リーグ

 

山本樹監督[元ヤクルト]率いる新制・龍谷大に迫る


 関西六大学リーグ最多29度の優勝を誇る龍谷大。チームを率いるのは山本樹監督だ。同大学のOBで、卒業後はヤクルトで貴重な左のリリーフ投手として2度の日本一に貢献するなど、13年間のプロ生活を送った。

 08年から5年間コーチを務めた後、12年12月に監督に就任。ヤクルト時代の恩師・野村克也氏直伝の野球をチームに浸透させた。それは「試合の状況や相手の心理状態から、どうすれば一番確率が高いのかを考える野球」(山本監督)だ。

 就任2年目の今春は4季ぶりにリーグ優勝を果たし、2年ぶりに大学選手権に出場した。1回戦の国際武道大戦では進塁打や相手のスキを突いた走塁を絡めて得点を奪い、4対1で快勝。2回戦では優勝した東海大に0対2という接戦を演じている。

▲6月11日に行われた第63回大学選手権1回戦の国際武道大戦[東京ドーム]でマウンドに行き、声を掛ける山本監督[写真中央]。同大会では2回戦で敗れ、かつての本拠地・神宮に足を踏み入れることができなかった



 この2試合の会場は、東京ドーム。東海大に勝てばプロ時代の本拠地・神宮球場への“凱旋”だったが、それは秋以降に持ち越しとなり、山本監督は再挑戦を誓った。

「まだお前には早い、という野球の神様のお告げだと思う。神宮で野球がしたいなら、もっといいチームを作れということでしょう」

 今秋は4年生が引退し、新チームとして連覇に挑む。新主将の山内陵(3年・広陵)、エースの菊池大樹(3年・八幡浜)、抑えの瀧中瞭太(2年・高島)、四番の宮城謙次郎(3年・鳥羽)ら旧チームからの主力は健在。だが、指揮官の評価は厳しかった。

「連覇する力はない。技術のなさをメンタルの強さや闘争心でカバーしないと勝てないのに、自分で何とかしようという精神力が弱いですね」

 この夏、山本監督は悪い状況で奮起できるかどうかを選手に問うた。それを象徴するのが、仏教系四大学大会の立正大戦(8月20日、駒大グラウンド)。5回、1点を先制され、なお二死一塁で遊撃の山内が失策。そこから先発の瀧中が連打を浴び、この回だけで9失点(試合は0対10で敗戦)した。その間、指揮官はあえて投手交代を告げずに見守った。

「チーム全員に野球の怖さを肌で感じさせてやりたかった。ヘコんで、そこから成長していかないと。変に自信をつけさせても結局、全国では勝てませんからね」

 その試合後、主将の山内は反省しつつも、下を向かずに言った。

「山本監督からは、いつも『野球はメンタルのスポーツだ』と言われています。平常心を保って、一つひとつ取れるアウト重ねていかないと。目標は日本一。そのために、自分たちにできることをしっかりやらなければいけません」

 8月30日、秋季リーグ戦が開幕。龍谷大は開幕戦で神院大に連敗を喫し、勝ち点を落としてしまった。リーグを連覇しても、明治神宮大会に駒を進めるには関西五連盟(関西六大学、関西学生、京滋、近畿学生、阪神)の各優勝校による代表決定戦を勝ち抜かなければならない(代表枠は2)。

 神宮への道は、険しい。だが、山本監督にメンタルを鍛えられた龍谷大は、その道を一歩ずつ進んでいく。(取材・文=佐伯要)

PROFILE

やまもと・たつき●93年ドラフト4位でヤクルト入団。プロ通算405試合27勝37敗10セーブ。08年1月から龍谷大の投手コーチ、12年12月から監督に昇格
アマチュア野球情報最前線

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アマチュア野球取材班、ベースボールライターによる、高校・大学・社会人野球の読み物。

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