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第59回全国高校軟式野球選手権大会
写真=佐藤真一

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日本歴代最長試合を制した中京高が優勝


 4日間、計10時間18分にわたる熱闘--。50イニング目にして、ようやく決着がついた。第59回全国高校軟式野球選手権大会(兵庫・明石トーカロほか)の準決勝、中京(東海・岐阜)と崇徳(西中国・広島)は球史に残る名勝負となった。

 両チームゼロ行進。8月28日の準決勝は0対0、大会規定により延長は15回まで。硬式は1回からの「再試合」となるが、今大会は日程消化が最優先。サスペンデッドゲーム(一時停止試合)となり、翌日は「継続試合」という形が取られた。

▲球場前には、崇徳対中京戦の熱戦のあとを示すホワイトボード



 29日は16回から再開したものの、30回まで無得点。さらに30日は31回から30個のゼロが並んで45回まで無得点。ついに、4日目に突入する「日本球界最長試合」となった。

 これまでの同大会での最長は81、83年の25回。甲子園では33年夏の準決勝(中京商1-0明石中)の25回、軟式では83年の全日本軟式大会決勝(ライト工業2-1田中病院)で45回を戦った例がある。

 二人のエースがマウンドを譲らなかった。中京・松井大河(3年)は3日間で635球、崇徳・石岡樹輝弥(3年)は617球。硬式と比べて軟式は負担が少ないとはいえ、疲労は限界だった。しかし、プライドがあった。名門・中京は昨年、出場権を逃し、崇徳にとっては大規模土砂災害に見舞われた広島のためにも、と力が入っていたのだ。

 3度のサスペンデッドを経た31日は、最長9イニング。夏休み期間の31日までに大会を終わらせないといけないため、決着がつかない場合は抽選。「1日18イニング」という規定もあるため、三浦学苑(南関東・神奈川)との決勝9イニングを確保するためには、54イニングで打ち切りとされた(決勝で同点の場合は、両校準決勝)。

 50回表、中京に待望の3点が入り、その裏を松井が無得点に抑え、熱戦に終止符が打たれた。崇徳・石岡も一人でマウンドを守り計689球の力投。中京の平中亮太監督は「言葉にならないですね。勝ち負け以上に素晴らしい試合を経験させてもらった感謝の気持ちでいっぱいです」と振り返った。

 2時間28分後に開始された決勝は中京が圧倒的不利ながらも、2対0で三浦学苑を下して2年ぶり7度目の優勝を飾った。4回途中から救援した松井は決勝での77球を加え、4日間で計786球を投げた。日本高野連では全加盟校へのアンケートを実施している。タイブレークの本格導入を含め、今大会の「50回」も受けて議論が展開される見込みだ。

▲約2時間半後に行われた三浦学苑[南関東]との決勝は、2対0で勝利し、中京高が2年ぶりの優勝

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アマチュア野球情報最前線

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アマチュア野球取材班、ベースボールライターによる、高校・大学・社会人野球の読み物。

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