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東京六大学

早大の新4番・木田大貴の打撃開眼の理由

 

一般入試組の苦労人、ラストシーズンに躍動


法大との開幕カードの2回戦で同点二塁打を放つと、3回戦では通算2号のソロ本塁打を放ち、勝ち点奪取に貢献した/写真=窪田亮


「ワセダのユニフォームを着て、神宮でプレーしたい」

 早大の木田大貴(4年・成章高)は高校時代からの思いを叶え、今秋は開幕戦から「四番・三塁」を務めている。

 2012年の秋。当時高校3年生だった木田は、東京六大学野球を観戦するために神宮球場を訪れた。バックネット裏から見た“学生野球の聖地”の美しさや、応援の華やかさに魅了された。そして、早大の選手が見せた走塁に「細かいところまで練習しているんだな」と惹きつけられ、あこがれた。

 早大を志望し、毎日塾へ通って6時間以上勉強した結果、一般入試で商学部に現役合格を果たす。「合格を知ったときは、信じられない気持ちでした」と振り返る。野球部に入部すると、現主将の石井一成(作新学院高)、中澤彰太(静岡高)ら甲子園経験者や実力者ばかりだった。自分は実績がない一般入試組。「ただ練習していたのでは、絶対に追いつけない」というほどの差を感じた。

 手応えをつかんだのは、2年夏の軽井沢キャンプ。10日間、1学年上の茂木栄五郎(現東北楽天)と早出練習をした。

「そこで守備でつかんだものがあって、自信が持てるようになりました」

 2年秋の法大1回戦で、守備固めとしてリーグ戦初出場。あこがれが現実となった。だが、3年時は「打撃が課題として目立ってしまった」と、春秋とも未出場に終わった。

プロ入りした先輩・茂木から打撃技術を伝授


 その間、「三番・三塁」として活躍する茂木を手本にした。試合中はベンチからプレーを観察したり、練習では打撃について質問したり。そんな木田を、茂木は“親身”になって指導してくれたという。

「それまではただ打席に立っていただけでしたが、その投手の球種をすべてイメージして、1球1球考えながら対応できるようになりました」

 昨秋の明治神宮大会決勝で亜大に敗れた直後。神宮球場のロッカールームで、卒業する茂木から「来年は頼むぞ!」と後を託された。

 その期待に応え、今春は茂木の後任として三塁に定着した。主に下位を打ったが、慶大2回戦からは一番に起用され、全13試合に出場しリーグ4位の打率.333、1本塁打、6打点をマーク。「打撃面では思った以上の結果が出た」と満足した。

 しかし、守備で4失策(そのうち3つが悪送球)を記録したことを反省。今夏は送球ミスをなくそうと、送球しやすい形で捕球することに重点を置いた。自主練習でノックを受け続けたことで「守備が落ち着き、いい流れで打席に入れるようになった」と、手応えを得ている。

 今夏のオープン戦では途中から四番に起用されると、8月17日の東北楽天戦で2本塁打を放つなど好調を維持。リーグ戦でも開幕カードの法大2回戦で同点の2点適時二塁打、同3回戦で左翼へソロ本塁打と、四番としての役割を果たしている。木田は充実感にあふれた表情で言う。

「入学当初はワセダの四番を打つなんて、まったく想像していませんでした。重圧はあるけど、考え過ぎるとよくないかな、と。打順に関係なく、自分のスイングをすれば結果につながると思います」

 V奪還を目指す早大。カギはこの「一般入試組の星」が握っている。(取材・文=佐伯要)

PROFILE
きだ・ひろたか●1994年7月18日生まれ。愛知県。178 cm 70 kg。右投右打。若戸小では赤羽根少年野球クラブに所属し、投手兼捕手としてプレー。赤羽根中では軟式野球部で投手。成章高では2年春から三塁手のレギュラー。3年夏の愛知大会は初戦敗退。早大では2年秋からリーグ戦に出場。4年春までに通算18試合、打率.326、1本塁打、6打点。
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