
5月23日の第1試合、優勝の可能性を残していた国学院大が中大に敗れ、東洋大の優勝が決定。第2試合[対亜大2回戦]で連勝して、勝ち点5として完全Vに花を添えている。杉本監督を胴上げした/写真=大賀章好
「戦国東都」で勝ち点5の完全優勝!!
東洋大ナインは、優勝の瞬間を神宮球場の一塁側ベンチ裏の通路で迎えた。歓声は上がらなかった。淡々とグラウンドへ入り、試合に備えた。
5月23日。第1試合で、優勝の可能性を残していた国学院大が中大2回戦に6対10で敗戦。そのため、第2試合の亜大2回戦の試合を前に、2季ぶり20度目の優勝が決まった。
試合には7対6でサヨナラ勝ち。連勝で勝ち点を5として、完全優勝を果たした。延長11回裏に一死一、三塁から
小川翔平(3年・霞ケ浦高)が中犠飛。
山田知輝(4年・桐生第一高)がサヨナラのホームを踏むと、その付近で歓喜の輪ができた。
杉本泰彦監督は優勝会見で「令和最初の春の優勝が東洋大と、歴史に刻まれるのは誇らしい」と喜んだ。
伝統の長打力は今年も健在だった。指揮官はリーグ戦序盤から「打線には自信がある」と繰り返していた。好機に適時打が出なくても、「本塁打は相手にとって脅威」「結果を求めて小さくなるな」と選手たちの背中を押し続けた。その結果、チーム本塁打は12本。今季の全得点(46点)の4分の1を本塁打で稼いでいる。
その象徴が山田だ。昨秋まで32打数2安打だったが、長距離砲として開花。今春は打率こそ.244も、5本塁打9打点をたたき出した。
チームスローガン「奪還」へ突き進む
昨年のチームから先発の
上茶谷大河(現
DeNA)と
梅津晃大(現
中日)、抑えの
甲斐野央(現
ソフトバンク)の「150キロ右腕トリオ」が卒業した。しかし、149キロ右腕の
村上頌樹(3年・智弁学園高)が大黒柱として成長。キレのある直球やスライダー、フォークなどを制球良く操り、9試合で4完封を含む6勝(0敗)を挙げ、防御率0.77。最高殊勲選手、最優秀投手、最優秀防御率、ベストナインの4冠に輝いた。
村上を支えたのが、主将兼捕手の
佐藤都志也(4年・聖光学院高)。打撃では打率.306、1本塁打、3打点と四番としてはやや物足りなかったが、守備では試合の状況や打者の反応を見ながら巧みなリードを見せた。捕手出身の杉本監督は「大学生らしくない、相手が嫌がるリードをしている」と、目を細める。
佐藤は昨年の主将・
中川圭太(現
オリックス)から、「主将力」「すべてはみんなのために」という言葉が書かれた帽子を引き継いでいる。昨年、中川がかぶっていたものだ。リーダーとして、チームを結束させる。一選手として、結果を残す。前主将からの2つのメッセージをしっかりと胸に刻み、東洋大を引っ張った。
昨春のリーグ戦は150キロ右腕トリオと主砲の中川というプロへ進んだ4人を擁して3連覇を達成。だが、大学選手権では2年連続の初戦敗退。九産大に3対10と、東都勢初の
コールド敗退の屈辱を味わった。昨秋は、リーグ戦3位に終わっている。
今年は「奪還」をスローガンに掲げている。東都の王座は奪還した。主将・佐藤は表情を引き締める。「『奪還』にはもう一つ、大学選手権で優勝するという意味があります。昨年の悔しさをぶつける勢いで、何が何でも日本一になりたい」2011年春から遠ざかっている大学日本一。その座を奪還するまで、チームは突き進んでいく。(取材・文=佐伯要)