
市和歌山高の右腕・小園は近大付高との練習試合で1失点完投勝利[3対1]。対外試合初戦で順調な調整ぶりを見せている[写真=佐藤真一]
奥川恭伸を彷ふつとさせるNPBスカウト注目投手
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、センバツ甲子園は中止。2年ぶりの大会開催を前にして、最も注目されている選手は、市和歌山高の152キロ右腕・
小園健太である。
3月7日。近大付高(大阪)との練習試合で対外試合初登板。9回1失点で完投し、11奪三振。この日の最速は148キロ。7球団10人のNPBスカウトの前で、順調な姿を見せた。
「今日のテーマは、しっかり、9回まで投げ切ることでした。4回が終わったあたりで60球くらいだったので、そこから調整して、110球ペースでいこうと思いました。(結果は119球。昨秋以来の完投に)思ったよりも、疲労はないです」と、涼しげな表情をのぞかせた。
序盤はストレートを狙われていたため、変化球主体の投球に切り替えた。新球の
シュートやチェンジアップなどをテンポ良く交え、相手打者に考える時間を与えなかった。
「1巡目、2巡目を終え相手の狙い球をつかめてきていたので、この打者にはこの球、と決めて投げていくうちにテンポが上がっていました」
11奪三振の内容に進化を見た。狙っている訳ではない。豊富な変化球(カーブ、スライダー、ツーシーム、カットボール、チェンジアップ)から、相手の意表を突く球種を厳しいコースにきっちり投げ分ける。投球術は、昨秋よりも磨きがかかっていた。とはいえ、変化球を生かす意味でも、生命線は真っすぐ。センバツ本番へ向けてはまだ、納得した球質ではないという。
「この冬から春にかけてストレートのキレは上がってきていますが、今日の試合ではここ一番の場面でストレートが浮いてしまったので、そこは反省点です。これから低めの意識をもっと強くしていきたいです」
強打捕手を擁する県岐阜商高と初戦で対戦
巧みなマウンドさばき、抜群の制球力、そして伸びのあるストレート。ポテンシャルの高さは、2019年夏の甲子園準優勝投手である星稜高・
奥川恭伸(現
ヤクルト)とだぶらせる関係者は多い。当時、奥川を追いかけていたヤクルト・
阿部健太スカウトはこの日、ネット裏から小園のピッチングを視察し、こう指摘した。
「ストレートの角度は奥川のほうが上ですが、ピッチングの多彩さは小園君のほうが上です。これだけ変化球を投げられたら、高校生はそう打てない。今日はペース配分しながらしっかり投げられていた。今年初の対外試合で、ここまで投げられるのは上出来です」。奥川は3年春のセンバツ初戦(対履正社高)での17奪三振をきっかけに飛躍。小園も県岐阜商高とのセンバツ1回戦(第4日第1試合)で、熱い視線が注がれるはずだ。
県岐阜商高には「高校No.1捕手」との呼び声が高い強肩強打の主砲・
高木翔斗がいる。この強打者を、小園ももちろん警戒している。
「彼を抑えることで、チーム全体に勢いがつくと思いますし、相手の流れを止めることもできる。ほかにもいい打者が多い中、一層、注意していかないといけない打者。タイプとしては、ウチの右打者・松川(
松川虎生、捕手)に近いのではないかと思います」
感染症予防対策の観点から、今大会は甲子園練習がなく、ぶっつけ本番となる。新年度における公式戦初戦となるセンバツは、毎年のように“入り”が難しいと言われる。小園は「甲子園は投げやすいマウンドと聞いているので、心配はないです」と目線を上げた。大きな可能性を秘める剛腕が、いよいよ甲子園でベールを脱ぐ。(取材・文=沢井史)