
昨年の東京都二次予選は第2代表決定戦から3連敗で、8年連続出場を逃がした。今年は堂々の第1代表で、3度目の黒獅子旗を狙う
煌々と照明が光る神宮で、入社8年目を迎えた29歳の右腕が22歳の新人と対峙する。第95回都市対抗野球大会の東京都二次予選。5月27日に行われた第一代表決定戦のフィナーレだ。最後はNTT東日本のマウンドに立つ
堀誠(立正大)が、東京ガスの
内海貴斗(法大)を見逃し三振に仕留め、NTT東日本が全国のトップを切って本大会出場を決めた。
立ち上がりの猛攻が、NTT東日本の2年ぶり47度目となる本大会切符を手繰り寄せた。1回表は二番でルーキー・
石井巧(中大)がフェンス直撃の中越え三塁打でチャンスメイク。入社6年目でチームの顔である
向山基生(法大)、捕手で四番を務める入社2年目の
野口泰司(名城大)の連続適時打で早々に2点を先制する。
東京ガスの大黒柱で、2021年都市対抗の橋戸賞右腕である30歳の
臼井浩(中央学院大)を攻め立てる打線は、2回表も入社5年目の
火ノ浦明正(専大)、7年目の丸山雅史(国士舘大)の連打で加点。3回表には、向山の右中間寄りのセンターバックスクリーンに飛び込むソロ本塁打を皮切りに3点を加えてリードを広げた。試合序盤の攻撃に、NTT東日本の代表権獲得に向けた熱量、そして前年の悔しさを払拭する執念が伝わってきたものだ。
2打点で勝利のキーパーソンの一人となった向山は、2年ぶりの代表権獲得に「このためにやってきたのでホッとした」と胸の内を明かす。

第1代表を決め、詰めかけた応援団に向かって笑顔を見せるNTT東日本の選手たち
若手の台頭とベテランの安定感
昨年は、第二代表決定戦からの3連敗で8年ぶりとなる二次予選敗退を経験した。向山は「社会人野球の厳しさをあらためて知った。チームを立て直すのは大変だった」と振り返る。そして、就任3年目の平野宏監督(国士舘大)は言葉をかみ締めるのだ。
「昨年は静岡大会と長野県知事旗大会で準優勝。都市対抗の二次予選、そして日本選手権の関東最終予選と、『代表決定戦』で6連敗しました。昨年の負けは、ただの負けではないということを選手たちが理解して、ここまでチームづくりをしてきた。勝つ難しさ、負ける悔しさを知り、チームは成長したと思います」
二次予選敗退から第一代表に登り詰めた歩みには、「覚悟を持ってチームとして戦っていく」という平野監督の思い、その言葉通りに地道に力を蓄えてきた選手一人ひとりの意識改革と勝利への熱があった。昨年まで南関東地区だった強豪・ホンダが東京地区に移り、今年の東京都二次予選は熾烈を極めると予想されていた。20年から2度のベスト4、そしてベスト8と東京ドームで実績を残してきたセガサミーが早々に姿を消す波乱の二次予選でもあったが、まさにV字回復で第一代表に。平野監督は力を込めて言う。
「若手の台頭とベテランの安定感が、代表権獲得の要因。ただ、山頂に行くには、まだまだ力が足りません。ここで満足せずにチームづくりをしていきたい。企業スポーツとして、社員の皆さまと一体感を持って東京ドームでも大暴れする準備をしたいと思います」
NTT東日本の視界には、17年以来となる3度目の都市対抗制覇が映っている。(取材・文・写真=佐々木亨)