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第95回都市対抗野球大会

V候補を初戦で撃破!! 北海道ガスが記した節目の白星 北海道勢100勝目の偉業

 

北海道ガスはNTT東日本との1回戦を7対3で勝利。優勝候補に対して投打で圧倒した[写真=福地和男]


 100勝の瞬間、グラウンドに飛び出した選手たちはハイタッチを繰り返して喜びを表現し、大歓声に包まれたスタンドの応援団に対して両手を挙げて応えていた。今夏の都市対抗の1回戦で北海道ガス(札幌市)がNTT東日本(東京都)に7対3で快勝。1927年の第1回大会でワゴナー(札幌市)が初白星を挙げて以来、第95回を迎えた今大会で、北海道勢は通算100勝に到達した。

 都市対抗での北海道勢の活躍を振り返ると、まず黎明期に名を馳せたのが太洋倶楽部(函館市)だ。第25回(54年)までに15回の本戦出場を果たし、戦前は久慈次郎(早大)が在籍していたことでも知られている。久慈といえば、全日本チームで沢村栄治(巨人)やスタルヒン(巨人)とバッテリーを組んだ名捕手。試合中の事故により命を落としたが、功績をたたえられ、都市対抗の敢闘賞にあたる久慈賞に名を冠している。

 第26回からは2チームが本大会に出場することとなり、63年には富士鉄室蘭(室蘭市)が準優勝。そして、黒獅子旗が初めて津軽海峡を越えたのは74年。都市対抗の通算本塁打記録を保持していた高梨英夫(大多喜高)や興南高を率いて甲子園で春夏連覇を果たした我喜屋優(興南高)らを擁した大昭和製紙北海道(白老町)が決勝で新日鐵八幡(北九州市)を延長10回、4対0で下して初優勝を飾っている。その後も翌75年は大昭和製紙北海道、76年は北海道拓殖銀行(札幌市)、80年は札幌トヨペット(札幌市)、89年はまたも大昭和製紙北海道が準優勝したが頂点には届かず。02年からは出場枠が1つとなり、現在に至っている。

17年ぶり「一大会2勝」ならず


 今大会で4年連続出場の北海道ガス(札幌市)は22年に初勝利。大台まであと1勝に迫り、昨年から指揮を執る工藤賢二監督(駒大)は「プレッシャーもあったのですが、ようやく一つの区切りをつけることができました」と記念すべき勝利を振り返った。今季は「しっかりと守って、攻撃では複数得点を取ることを課題にしてきました」と指揮官が話すように北海道二次予選は3試合で失策ゼロ。本大会のNTT東日本との1回戦でも投手の失策が1つだけで、打線は高橋謙太(国学院大)が3ランを放つなど長打攻勢と集中打で7点を奪った。「選手がこれまでやってきたことを120%出してくれました」と工藤監督。

 また、9回を締めた6年目の大城祐樹(桐蔭横浜大)は「99勝目を挙げたのはウチでしたから、100勝目を他のチームに取られるのはしゃくだったので勝ててよかったです」と笑顔を見せた。

 2回戦は西濃運輸(大垣市)に1対11の8回コールドで敗退。4強に進出した07年のJR北海道以来となる道勢による一大会2勝はならず、工藤監督は「全国大会はどのチームとあたっても勝つのは難しい。守備でミスがあり、攻撃ではチャンスで見逃し三振があったので、守備も攻撃も自分たちから崩れないようにしていきたい」と課題を挙げた。また、大城は「100勝といっても、ウチは2勝しかしていないので、これから優勝できるチームを作りたい」と大きな目標を掲げており、節目の100勝を達成し、その先へ。新たな歴史を刻んでいくことになる。(取材・文=大平明)
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